少子高齢化が急激に進む日本の市場変化に積極的な対応を見せる施設が目立つようになってきたようです。 シニア世代をターゲットにした取り組みの一例として、子育ても一段落して比較的懐に余裕のあるシニア世代の財布のひもを緩めるため、広い店内を持つ施設などでは無理なく長い滞在が出来るように“休憩スペース”を配置するなどして情報を提供したり“コンシェルジェ”を配置して商品提案を行うなどシニア世代が“ゆったり”とした雰囲気の中で買い物を楽しむことが出来るような工夫を行っています。
最近の大型施設でよく見かけるペットショップでは人間の食べ物と見まがうようなきれいに盛り付けされたペットフードやペット用のスイーツまでも。 子育てが一段落してぽっかりと空いてしまった心の隙間を埋めてくれる様々な商品提案にコロッと行ってしまうシニア世代の方も多いことでしょう。
ゾーン別の滞留や属性解析など、狙ったターゲットと実際の動向にミスマッチが無いかなど戦略を数値化して常に評価していくことが重要です。
今どきの特に大型の商業施設では、如何にして来訪するお客様に施設内で過ごす時間を増やしてもらうかにしのぎを削っています。
キーワードは“アメニティーの充実”にあるようです。 トイレが快適であることはもちろん。今や少数派となった喫煙者に対しても肩身の狭い思いをさせない工夫を凝らしているようです。
喫煙者も非喫煙者もあらゆる層の人々に対して快適な空間を提供することで今どきの商業施設では順調に来訪者の平均滞在時間を延ばすことに成功しているようです。
会社などでも以前より喫煙室などを設置して分煙を進めてきましたが実際には単にスペースを仕切っているだけで匂いはあちこちに拡散していたものです。 しかしながら昨今ではほとんど匂いの漏れない分煙を行う設備も見られるようになってきました。 吸わない人への配慮はもちろんですが、吸う人への配慮もされた空間演出など工夫を凝らしているようです。
ゾーン別の滞留を数値化して施設内の清掃などオペレーションの効率化を促進。 施設の管理を行う事が重要です。
弊社でよく経験しているのが、センサーの導入を行うと来店客数が大幅に増えるという現象です。 今までPOSデータから係数で割るなどして来店人数を逆算していた店舗様や、店舗スタッフによる手カウントを実施して来店人数としていたお客様の例外なくほぼ全てのケースにおいて来店者数が大幅に増え、今まで蓄積してきた買い上げ率が落ちるという結果につながります。
中には実際の来店者数の半分にも満たない数を来店者数としていたお客様もあり店長からクレーム?を頂くケースも。(笑)
一般にマーケティングの重要な指標としてコンバージョンレートはほとんどの店舗様で販売会議の際の店舗を測る指標として使用されていると思います。
センサーの導入により今までのコンバージョンよりも低下したとしても実質的な部分で店舗の業績に即何か悪いことが起きるという訳ではありません。 中長期的に見ればコンバージョンを正しく把握出来ていない場合には取らなければならない戦略を選択肢から外してしまうなど致命的な戦略ミスにつながる可能性が高まり、結果本当の意味で店長の憂鬱は深―いものになってしまう危険性をはらんでいます。
例えば夏の風物詩の隅田川の花火大会では、訪れた見物客の数を発表しています。 ここで疑問が、ビルなど出入り口があるような建物への出入りならいざ知らず、お天道様の下をあらゆる道から溢れるように訪れる人々を一体どのように数えているのでしょうか?
花火大会にお出かけした経験のある方ならお判りかと思いますが、尋常ではない数の人が集まってきます。こんなの絶対に測れない!と思われることと思います。 そうです。“正しくなんて測れない”が正解です。
実は、区の職員などが複数の測定ポイントを設けて手分けして手カウントを行っているんです。 1平方メートルに何人いるのか? を複数の人が目で見て数えて全体の想定される面積に当てはめた数値を割り出すといった手法を用いています。
実際の数字とは大きく乖離している可能性も否定できませんが、毎年同様の測定を行うことで一定の指標として信頼性を持ったデータと成り得るということです。
測定ポイントを設けて流れる人の数をサンプリングして測定するなど、絶対数は難しいとしてもマーケティング上は有効な指標を得るための測定の仕方は色々考えられます。
商品の陳列什器をあえて平棚で結んで空間を演出したり、店内の雰囲気作りに木を使ったりすることで顧客に心理的なゆとりを持たせる試みを行う店舗が増えています。
商品陳列数を減らした棚割りを行う事で店内の通路幅を広めに確保。 顧客に“長居して下さい。 “どうぞ、ごゆっくり” というメッセージをレイアウトを通じて伝えることで顧客に居心地が良いと感じさせる効果があります。
従来よりもゆったりとした陳列のスペースを比較的高額な商品のプレゼンテーションのスペースにすることで足を止めて商品の説明や商品自体に興味を示す顧客を増やすことが可能です。
このような取り組みの結果として顧客は滞在時間を増やし、ついつい消費行動に走ってしまう。 結果、買上単価の上昇に結びついているようです。
仕掛けを作った棚割りを行ったゾーンの人の動きをチェックすることで効果の測定を一定の数値として“見える化”して評価を行う事が重要です。
限られたスペース内で購買機会を最大化する。 コンビニのマーケティングは人々の生活行動を心理面からも利用した工夫にあふれています。
一般にお客様の多くが求める飲料水系の冷蔵庫を店内の奥に配して人を店内奥深くへいざないます。次にお弁当、デザート、雑貨や雑誌と効率よく店内を移動させる間に顧客についで買いを誘うレイアウトに。
コンビニとアパレルでは効率の部分では逆の提案が必要ですが、一押しの商材はやはり分かり易い位置に配して人を店内に引き込むことが大事です。 細かな棚割りではコンビニのようにびっしりとカテゴリーで分けて配列させてしまうと買い物の効率が良すぎて結果滞在時間を短くしてしまうから注意が必要です。
店内のゾーン別の人の流れや滞留などを数値化することでお客様の多く滞留する地点を知り店内レイアウトを工夫。 人の滞留の多い地点に合わせ商材の配置を工夫することで買い上げ単価向上にもつなげることが出来ます。
店舗などをじっくりと観察していると出入り口付近で入りかけてやっぱり入らない。というUターン現象をよく見かけることがあります。
洋服を見に来たのに宝石店に入ってしまって慌てて出ていく、などということも稀にあろうかと思いますが、まったく違うお店と勘違いしてということは少ないように思います。 実店舗では訪れた人にまずは店舗へ入っていただく事が重要です。そのため訪れる人に対して魅力ある情報発信をしなければなりません。
有名ブランドであれば既に興味を持っている人々は黙っていても店舗内へ吸い込まれていくでしょう。 但しまだブランドをよく知らない潜在顧客に対しては店舗自体が一定以上の魅力や期待を発信出来るかで店舗内へお客様を引き寄せる事が出来るかどうかが決まります。 入口でUターンする率が多い場合には店舗のファサード周りのディスプレイに工夫が足りないのかもしれません。 直帰率を測る事で今まで見えてこなかった潜在顧客とその評価に気付く事が出来るかもしれません。
いわゆる臨機応変の対応が求められるのが接客業です。
もちろんほとんどの方に対して快適と思われる接客方法をマニュアル化することで誰でも一定以上の質で接客が出来るようになることは間違えではありません。 最近ではあえて積極的な接客を行わないお店が増えているようですが、来客数に対して店員さんが少ない場合には必要な時でさえ声掛けが出来なくなってしまうことも。 重要なのはさりげない“目配せ”ですが、必要な人員が確保できていない店舗では当然ながら1人の仕事量が増えてしまいます。
目の前の商品を畳んだりするのに忙しくてついつい必要な“目配せ”が出来ないまま「いらっしゃいませー」、「ありがとうございました」を繰り返す人も。 シャイなお客様の中には“声をかけて!”とキョロキョロと店員さんに信号を送っているものです。
来店者数を正しく把握して来店傾向にあったシフトを組むことで常に来店客数に対して必要十分なスタッフ数を確保することが出来、余裕を持って一人一人のお客様をさりげなく、でもしっかりとした“目配せ”により適切なお声掛けにつなげる事が出来ます。
従来トイレはどちらかというと汚い場所でした。外出時には出来るだけトイレは我慢するという方は多いかと思います。
昨今ではこの発想を逆手にとって一昔前では考えられないくらいきれいで快適なトイレがあちこちに出現しています。 古い商業施設などで集客力が落ちてきたらトイレを改修するだけでも思いがけず人が戻ってくるかも知れません。
現代では女性だけでなく男性にも汚いトイレは利用したくないと思う人が増えています。 トイレの利用状況を集計して一定の利用者数毎の傾向を掴めれば必要十分な無駄のないオペレーション(清掃作業)を展開する事が可能となり、オペレーションの無駄を省きつつ来店されるお客様に常に清潔で居心地の良いトイレ空間を提供する事が可能となります。
単純な原理ではありますが、滞在時間が増えれば購買の機会は同様に増えていきます。 時代は変わっても普遍的な人間の消費行動の一つのパターンです。 当然ながら店舗の場所や属性、来店される人の属性や目的、年齢層や時間帯、更には天候や個人かグループか、など様々な複合的な要因により傾向は異なりますが、平均値を取る事で一定した指標となります。
同じ大きさの日用品スーパーAとBがあったとします。 商品の品揃えも同じ価格も同じだとします。 立地も変わらなければほぼ同じような数のお客様が来店されるはずです。 ここでスーパーAでは店内のPOPを工夫して商品の説明を分かり易く訴えかけ、更に試食コーナーを設けるなどお客様の足を留める努力を行ったとします。 果たしてA店の平均滞在時間がB点よりも3分伸びたと仮定すると売上金額もA店の方がB店よりも大きくなる傾向になるはずです。
100円ショップでは顧客の平均滞在時間を1分増やす努力を常に行っています。